福岡高等裁判所宮崎支部 昭和26年(う)104号 判決
沒収すべき物件の押収または領置は、裁判所または裁判官ばかりでなく、検察官、検察事務官、または司法警察職員においてもこれをすることのできること、刑事訴訟法第二二一条、第二二二条の規定に徴し明らかであるから、よしんば、所論物件が原裁判所において押収したものでないとしても、元来所論物件は関税法第八三条により沒収し得べき物件であり、しかも記録によれば、所論物件は司法警察職員である大蔵事務官小柳幹男において、所定の手続に従い領置したものであるから、同物件が沒収の対象となり得ること多言を要しないところである。なお、所論物件が、証拠物として原審公判廷に顕出されず、従つて、これにつき証拠調のなされなかつたこと、また、原裁判所において押収もしくは領置された形跡のないことも所論のとおりであるが、裁判所において押収もしくは領置されない物件でも沒収し得ることは前説示のとおりであり、しかして、原審第一回公判調書の記載によれば、検察官から大蔵事務官小柳幹男作成にかかる所論物件に対する領置調書及び領置目録謄本が証拠書類として提出されたところ、被告人及び弁護人においては、いずれも該書面を証拠とすることに同意したので、原裁判所は、その書面につき適法な証拠調をしたことが認め得られるから、所論物件が公判廷に顕出されず、その物件自体につき証拠調がなされなかつたとしても、該書面により、所論物件の存在することは優にこれを認め得るので、原判決が所論物件につき沒収の言い渡しをしても、何等差支ないものといわざるを得ない。それ故論旨は理由がない。
(註。本件は量刑不当により破棄自判)